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バーでの出会い

第11章 真実


そういえばよく友達に紫音ばっか目で追ってたら

お前、そのうちストーカーにでもなるんじゃないか?



なんて言われたことがあったっけ


自分でもそう思ったことがあったようななかったような



ただ、紫音が悲しんでいる時は常にそばにいてやりたかった

紫音が昔付き合ってた男と別れた翌日


彼女はいつものように明るく登校して、友達と話して

『いやー実は別れちゃってさ』

って満面の笑みで言っていた

最初はこいつは馬鹿なんじゃないか

普通はテンションだだ下がりで、ましてや笑顔なんて


だからこいつはただそういう感情がないやつで

何も感じ取れない鈍感野郎なんだとその時は思った



でも、俺は見たんだ


放課後誰もいなくなった教室にひとり


グラウンドを、付き合ってたやつをずっと目で追っていた


涙を流しながら



誰にも見せない涙



俺は彼女を


紫音を守ってやりたいと、そう思った



その日を境に俺は紫音に頻繁に話しかけるようになった


元々そんな喋ったことは無かったから、はじめなんか


なんだこいつは


みたいな目で見られて、愛想笑いされて話が続かなかった

冗談を言い合える仲になるまで結構かかったと思う



お前ら付き合ってんじゃねえのかって言われるくらい仲良くなった

だから、悩んでる時の顔も、私元気ですよーって無理して笑ってることも全部わかるようになった


そんな時は心から笑ってくれるように

彼女をいろんなところに連れ回した

そして、面白いことを喋り続けて飽きないように、楽しんでくれるように俺なりに頑張った








ついにやってきた卒業式

俺は聞いた

『俺といて楽しくなかったことあったか?』


すると彼女は満面の笑みで


「恭雅といると気が楽だし、嫌なことあっても恭雅といる時は全部忘れられたような気がする


……ありがとう」


『……いや、いいんだよ、これからもお互いに頑張ろうな』


「うん、頑張ろうね」





あー、今考えるとその時に告白しとけばよかった


完全にいい感じだったじゃん




いや、そうじゃなくて…



それからというもの、就職して忙しくなったせいもあって連絡を取らなくなってしまった





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