第18章 大切な人
_浩二
仕事が手につかないから早めにあがってしばらくカフェでコーヒーを飲んでいた
すると彼女がきた
いらっしゃいませー1名様でよろしいですか?
「あ、あの待ち合わせしてて」
かしこまりましたー
ああ、彼女が来てしまった
緊張する、なんて切り出せばいいかな
「あ、こんばんは…」
『あ、うん、なにか飲む?』
「あ、えとコーヒーで」
彼女のコーヒーがくるまで俺達は一言も喋らなかった
コーヒーを飲んで一息ついた彼女に
『あの、俺考えて思ったんだ……紫音が幸せになれればそれでいいって
だから、紫音の気持ちを聞かせて欲しい』
「私、浩二といてすごく成長できたし楽しかった!辛い時も支えてもらってありがたかった…でも
私、恭雅といると一番自然体でいられる気がするの」
『ああ、そうか……分かってたよなんとなく
きっとあいつなら紫音を幸せにしてやれる』
「……ごめんなさい」
『いいよ、謝るな
じゃあ一つだけお願いを聞いてくれるか?』
「なに?」
『これで、終わりじゃなくて、友達としていちデザイナーとして、これからも仲良くしてくれないか?』
「え?」
『無理にとは言わない、でも俺に出来ることがあれば頼ってもらいたいし……』
「いいの?浩二はそれで…ほんとに?」
『ああ』
「……っありがとう」
『な、泣くなよ』
「ご、ごめん」
彼女は俺とこれからも関わりをもってくれると言ってくれた
実は建物やインテリアを中心に活動してきたが
洋服のデザイン……と言うよりは結婚式の衣装、それにセッティング関係の仕事も始めていた
だから、もし彼女があいつ、恭雅と結婚するならそれに携われればと思った
その事も彼女に話すと嬉しそうにしていた
俺は紫音が幸せになってくれればいい
今までありがとう