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バーでの出会い

第14章 秘密



俺は紫音を元気にさせるために、笑顔にさせられるようにするだけなのに、なんで泣かせてんだよ


……情ねえ


『紫音?大丈夫か?』

「…」

『まあ、大丈夫なわけないよな』



「……なんで…」


『ん?』


「なんで、黙ってたの」



『お前、何か聞かされたのか?』


「……うん、全部聞いた」


『あっ……俺、謝っても謝りきれない…どうしたら許してもらえる…?取り返しのつかないことしたと思ってる、本当に申し訳ない
もう俺に会いたくないなら、二度と紫音の前に姿表さないから
何でも聞く、だから……』



「じゃあ……」


この時俺は覚悟していた

これで二度と紫音の、笑った顔、怒った顔

彼女の全てが見られなくなることを

でも、彼女がそれを望むなら、彼女が幸せになるなら


俺は何でもする




「じゃあ、そばに居てよ」


『……そうか、わかった それじゃあ ん?』


「聞こえなかったの?」



『え、いや、そばにいてって言った?幻聴か?』


「ぷっ何言ってんの?w」


『だって、俺、もうっ……』



今にも泣きそうだ

頼むから涙落ちないでくれ、彼女の前で泣くわけには



そう思ってたのに彼女が抱きついてきた


そのおかげで何とかこらえてた涙がこぼれ落ちた


『……っ俺、だって、苦しい思いも、悲しい思いもさせたっのに……』


「恭雅が悪いわけじゃないでしょ?」


耳元で彼女の優しい声


『俺の親父がやったんだから俺がやったもんだよ…
そのせいでお前のっ…』



「確かにそうかもしれないけど、過去は過去だもん
どうしても変えられない、だから今が幸せになるようにすればいいの

だから、そばにいて欲しい」


なんて心の広い子なんだろう、自分の父親を殺されたも同然なのに

……ああ、俺はこんなに幸せになってしまってもいいのか



最初、親父が裏切って彼女の父親がなくなってしまったことを聞いた時は、俺の親父がやってしまったことに罪滅ぼしとして、彼女に接していた
彼女のためになにかできないかと…

でも、いつの日か彼女に惹かれ、自分の意思で彼女を笑顔に、幸せにしたいと思うようになった



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