第3章 ふたつめ。
研究所から離れ、マイホームへと向かう。
荷物は十四松が死守している。
そんなに車は来ないと言うのに、名無ちゃんのキャリーケースを大事そうに抱き抱えている。その姿はさながら大好きな飼い主の言いつけをきちんと守る犬に見えなくもない。
名無ちゃんはと言うと、別れ際に博士の過保護スキルが働き松葉杖を両手に装備している。
それでもまだフラフラだ。
何度も転びそうになりながらも、そこは俺達がフォローした。
その都度ありがとうと呟く唇が愛しすぎてたまらない。どうしよう。
『みんな、の・・・・・・おうちって・・・どんな、の?』
おそ松「家?
そうだなー・・・、一言で言えばホーム感バリバリ」
『ほー・・・む?』
十四松「うん!
周りビルとかコンクリートの建物ばっかなのに、おれ達の家は木造なんだ。でも頑丈だよ!」
チョロ松「頑丈なのはみんなが能力でいつも容赦なくぶっ壊して、その度に僕が補強してるからだろ?
特におそ松兄さんなんて・・・」
おそ松「おぉっとぉ、長男様の好感度をさっそく削ろうとしてきたな・・・さすがはチョロちゃん。
でもお兄ちゃんだって負けてねーもんな。いいの?お前がその事を名無ちゃんに言った3秒後に、お前のシコ事情を公開しちゃうよぉ?」
チョロ松「んなっ・・・!!?
べ、別に削ろうとかしてないだろ!?
て言うかなんだよそのネーミング!下ネタ丸出しじゃん!!」
おそ松「まあそりゃあ?
内容が内容でお前の身の上話だも~ん。二重の意味で」
チョロ松「こ、っの・・・!」
トド松「あーもう、女の子の前でそう言うのやめなよ。いい歳して恥ずかしくないの?」
おそ松「おー?
女の子の前で見るも無残な姿にメタモルフォーゼしたトッティがそれを言っちゃう?」
トド松「、っはあ!?
今それ関係無くない?
て言うかそれを言うなら、おそ松兄さんだって人の事言えないよね。僕らが風邪引いた時にサイフ持ってって有り金全部負けて来るし、何気に兄弟の中でお金遣い荒いし!」
十四松「あはは、おそ松兄さん金の亡者ー」
おそ松「なにをう!?
あれはお前らの懐を温めてやろうとしたお兄ちゃんの優しさだろう!」
おそ松を筆頭に、いつもの見慣れた口喧嘩が始まった。