第1章 さいしょ
side 名無
目を開ける。
ぼんやりしてるのかはっきりしてるのかさえも解らない、この視界はいつもの光景だ。
床は白くて、壁もシロくて、天井もしろくて。
時間は見えない。
時計が置かれてないのも理由のひとつだけど、そもそも時間を知ったって意味が無い。無意味なんだ。
チクタク、だったかカチカチだったかのそれらしき音も聞こえない。
視線を上下左右させても、いつもの白。
この、部屋は。
この、空間は。
自分しか無い。
自分と言うものしか、おいてない。
生きてるのか、死んでるのか。
生まれてるのか、生まれてる前なのか。
何がほんもので、どれがにせものなのか。
わからない。
わかろうともしない。
しらない。
しろうともしない。
なんで?なにが。
考える事も、無意味。
考えてもその答えを知らないから。知りたくないから。答えが出ない。
自分が、なにで。
なんでここに在るのか。
白しか見えない。
何も聞こえない。
何も匂わない。
何も思わない。
ふわふわと不安定な思考の中で、いつもの音が増えた。