第3章 入れ替わり事件発生
頭でも打ったのか?いや、それは無いだろう。
神威って三味線弾くっけ?
もう一度声をかけると、やっと振り向いた彼。
?
いつもは服のボタンをきっちりと上まで止められているのに、今日は半分ほど外していた。
なので鍛え上げた肉体に嫌でも目が行く。
『…え、あ、神威?』
「……なんだ」
な、な、ななな、な、なんだ!!??!?
神威ってそんな言葉遣いだった!?
『(おおお、落ち着け私)…に、任務から帰還したって報告を…』
「…あァ」
阿伏兎さーーん!!!我らの提督さんが反抗期ですゥゥ!!
だって!神威って普通は返事にあァとか使わないよ!!?ほんと悪いモンでも食べたの!?どうなの!?
「他に…何か用か」
『えっ、いや別に…』
「ククッ」
口角を上げながら怪しく笑う神威を目に、一歩後ろへ下がった。
それを見た神威は、三味線を襖に立てかけ、自身のポケットを探るとキセルを取り出した。
……キセルッッ!!?
それを躊躇せず、プカプカと吸い始める。
『ちょ、神威!?アンタ、キセルなんて持ってたの!?それに三味線も…!』
「あ?」
『っていうか、なんか…いつもと違う!』
ズカズカと神威のそばへ寄り、キセルを持つ手を掴み上げた。
神威の歪む顔が誰かに似ている気がした。
『まだ子どもなんだから!タバコは禁止!なんて奴だ!』
ダメッッとキツく叱り、キセルを取り上げると火を消して、机の上に置いた。
ったく…阿伏兎がいないからって…!
『なんか今日変だよ神威。ゆっくり休んだほうが…っ!?』
強い力で引っ張られたと思うと、ボフッとベッドへ倒された。
急いで起き上がろうとすれば両腕を掴まれ身動きが取れない。
『ちょ…!』
「俺がガキかどうか、試そうじゃねェか」
『え?は!?』
神威と天井しか目に映らないのにどうしろと!?
ニヤリ顔の神威は、私の顎に手をかけると鼻と鼻がくっつきそうな位に近づいてきた。
これから神威の言うとおりにすればどうなるか、それ位分かる。
『(ちょ、ちょちょちょ…!)…まっ』
「流石の春雨幹部も余裕ねェみてェだな」