第3章 入れ替わり事件発生
『あ"〜〜〜』
長期の任務から帰還し、疲れ果てた身体を引きづるように廊下を歩く。
第七師団たちとすれ違うときに「お疲れ様です」って言ってくれたけど返事をする気力もなかったで手を上げるだけだった。
そのまま真っ先にシャワールームへと向かい、汗だくになった自身を洗い流す。
『(あ"〜〜〜眠てェェ…)』
汚れた服を洗浄ボックスにポイと入れる。するとコンピュータは誰のモノか認識し、本人の新しい服を出してくれる。
なんてハイテク。凄いぞ地球産。
ガシガシと頭を拭きながらさっぱりとした姿で自室に戻ろうとしたが、帰還したという報告をしなければならなかったので、阿伏兎の部屋へと足を運んだのだが…
『…あれ?部屋開かない』
私の部屋以外は自動ドア式で人を感知したらうにゃうにゃ…ってやつなのに。
開かないってことは鍵がかかっているってこと。
『阿伏兎も任務なのか…』
仕方がない。こうなると神威(提督)へ報告に行くしか他ない。
団長から提督へと昇格(?)した神威の自室は以前より遠くなってしまったので面倒なのだ。
『最悪だ…Uターンしなきゃ…』
もう眠気の方が勝っているのにヨロヨロ歩きながら神威の自室へと急ぐ。
長い長い廊下、中央ホールも抜けて、団長会議室も通り過ぎて…
気の毒そうに見つめて来た隊員にヘラッと笑いながらも、やっとのことで神威の部屋へとたどり着いた。
この部屋は二重扉で、手前の扉をノックした後に奥の扉が開くシステム。だから遠回しにちゃんとノックしろって言ってるかんじ。
コンコン
『神威、入るよ』
返事は無いが、奥の扉は開いているため、中には神威はいる。
一歩、神威の自室へと足を踏み入れると、自分の部屋との広さを比較してしまう。
前提督の部屋を少し改造しただけだったので見慣れたものだ。
提督の部屋だけ和室仕様になっており窓の襖を開けると宇宙の絶景が見える。
なんて贅沢。
『神威〜。あの星の件、片づけたから〜……ん?』
いつもは寝てるか書類に判子を押している姿しか知らない。
けど今日は…
静かなリズムで弦を弾く音。
窓の淵に座り三味線を弾くなんて。
珍しいったらありゃしない。
『か、神威?』