第19章 面白い事ゼロの日常生活見たい?
自主練するのは意外と好きだ。ゲームの次に、だけども。
だいたい皆が寝静まったあと、トレーニングルームは人っ子一人いないから、そこで1人で自主練するのが好き。
『さぁて…久しぶりにやりますか…』
春雨のトレーニングルームは重力を自由に変化が可能。星によっては重力が様々だからそれに合わせたトレーニングをしておくのが普通だ。
私は足と手を伸ばして軽くストレッチしてから重力変更ボタンを押した。
まずは+1から、1分経過する事に+1ずつ上がっていく。
「…よしっ」
目をつぶって、目の前に相手がいるのを想像する。
宇宙には色んな星人がいる。
私や神威のように二足歩行の者。腕が4本ある生物もいたし、足が8本のタコみたいな奴もいた。
任務に行くならそれに順応しないといけない。イレギュラーな事ばかりだけど、それが楽しい。
『…もっと強くなりたいなぁ』
ある程度トレーニングして、そろそろ10分経ったくらいでトレーニングルームの扉が開いた。
『あっ 今重力操作して、て………』
扉を見るように振り返ると、神威がお馴染みのアホ毛をぴょんとさせて私を見つめていた。
「やぁ♪」
『…帰れ〜〜〜っっ!!』
「誰かが熱心にトレーニングしてるみたいだし、稽古でもつけてあげようかと思ったけど、なぁんだかぁ…」
『結構です。お帰りくださーい』
「任務から帰ってきたんだけど、まだ動き足りないんだよね。今日の敵雑魚かったから」
神威はそう言って指をボキボキと鳴らし始めた。
その姿を見て私はギョッとする。
『えっ 勘弁してよ!ちょうど今さっき自主練始めたばっかだし』
「2人で組手した方が早いだろ?ほらほら、重力もっと上げて」
神威は私の言葉を無視し重力のボタンを上げまくる。
だんだん重くなってきた。
って何倍にしてんだ!!!
『ちょ…!!キツいって!』
「大丈夫大丈夫」
ニコニコしたままの神威は、腰にささってた番傘を引き抜きそのまま私に向かって振り回した。それをスレスレでかわす。
『ちょっとォ!?』
「あり?動き鈍くなった?」
『今日はずっと元老(うえ)と缶詰め会議してたんだから体カチコチなの!手加減してよ!?』
「手加減なんかしてる暇ないよ」