第19章 面白い事ゼロの日常生活見たい?
番傘の銃口をこちらに向ける。狙いはもちろん私だ。
まずいと思って急いで照準から外れる。神威は私を追って連射した。
弾を避けながら神威に詰寄る。
『あっぶないなぁ!もう!!』
相手が番傘を使う時は、利き手が塞がるから近づいた方が有利だ。
私は番傘を掴む右手を払い、落ちた神威の番傘を遠くに蹴り飛ばす。
「おっ やる気になってきた?」
『早く終わらせてアンタを帰らせたいよ!』
そのまま神威の胸目掛けて蹴り技を出したが、あっさり避けられそのまま足払いされ私は地面に倒れた。
未だにニコニコのままの神威に跨がれ上から覗かれる。
『ムカつくー!!』
「やっぱり今日調子悪いね。昔の#NANE1#の方がもっとやれてたよ」
『まずこのバグった重力をどーにかして!』
足を振り上げ、神威の腰に蹴りを入れると、ヨロヨロと私の上から退いた。
その足をつかみ神威を壁に放り投げる。神威は空中で立て直し綺麗に着地した。
『あー暑っ!ちょっとタイム!重力戻そう!』
「面白いからこのままでやろう!」
『なんでェェェ!?』
重力をものともしない神威はまた私に足払いをする。それを避け、神威の頭目掛けて回し蹴りをする。私の動きが読めたのか腕でガードし、空いた脇腹に手刀を入れる。
これもスレスレで避けて神威から距離をとる。
『はぁ〜〜…』
「ため息ついたら幸せ逃げるよ?」
『誰のせいだ!!!』
自主練しようと決めた2時間前の私にキレたい。今すぐやめろ。さもないと思ってる100倍は疲れることになる。と言いたい。
「まだまだやるよ」
『だからせめて重力を…っうお!』
神威が本気になってきた。動きがさっきよりも格段に早い。
さっきのがウォーミングアップって事なのか…。私はもうバテバテだ。
*
私の汗で床が滑りやすくなってきた頃、神威が重力を元に戻した。
シュンっといつもの重力に戻った衝撃で私は床に座った。
『はぁ…はぁ…っ』
「普段ここまでやれないから楽しいね」
『し、…しぬ…』
「どうする?まだ続け『ない!!!』」
わ、私を殺す気か…!!