第16章 春雨の船って風呂あるの?(禁句
2人でも充分余裕があるバスタブで、と神威は向かい合わせに浸かっていた。
『背中洗うのに、私まで服脱ぐのおかしくない?』
「まぁまぁ」
『それと、どさくさに紛れて胸触んないでくれる?』
「まぁまぁ」
無い胸を…と言いかけた神威の額に強烈なデコピン。
振動で湯船の湯がザバァと排水口へ流れた。
『ふん。あんたはアキラ様チケットに感謝するべきだわ』
「そうかな。そのアキラって奴より、俺の方が強いと思うけど」
『あのね、力で全部決まらないの。わかる?そりゃ神威の方が強さはいいけど、相手は神なの。仏なの。天使なの!この世に生まれてきてくれてありがとうございますって感じなの!』
「へぇ」
『私なんかゲームが発売されてからずーっと一途なファンなんだから!ファンクラブ会員ID、0003!アキラ様と付き合ってもう10年だよ! 』
「興奮すると逆上せるよ」
『ほんとだ…暑くなってきた』
もう上がろうと、は湯船の手すりに手をかけた時、神威がの腕を掴み寄せて唇を合わせた。
『……はっっ!?』
「その神様のチケットの代だ」
『んっ』
「これは仏様のチケット代」
『…っあ』
「それと天使のチケット代」
『ッッ!』
「あと、生まれてきてくれてありがとう代」
そう言って神威はを置いて風呂場を後にした。
ふと目にした鏡には、胸元に紅い痕がいくつがついたの姿。
『わ、私の財産、根こそぎ取られた…』
((えっ嫉妬…?あれ嫉妬だったの??))
K(こーんな宇宙最強な彼氏がいるのに、は馬鹿だなぁ)