第16章 春雨の船って風呂あるの?(禁句
おいおいと泣いているふりをするに目もくれず、少しはだけた胸ポケットから一枚の紙切れを取り出した神威。
『ん?なにその紙……はぁ?!そそそれはぁぁあ??!』
「この間の昼食の時、が落選したって泣いて言ってたアキラオンリーコンサートのチケット。
なになに?"アキラ10周年!限定50席のスペシャルコンサート!忘れられない思い出をアキラから貴女に!" だって。へー、地球公演なんだー。凄いね~」
『100口申し込んでも落選したコンサートチケットぉぉお!!オメーど、どどこでそれおおお!!!』
「実は、凄い熱心に応募してるに応援したくなっちゃって。1口申し込んだら当選してたんだ」
『おおおー!神よォォォ!』
「にこれをあげるついでにお風呂貸して『お背中お流しいたしますぅう!!』 ちょろいね」
目にも留まらぬ早さでクローゼットからハンドタオルとバスタオル、さらにはドライヤーまで来客用のアメニティ一式を取り出し、神威に手渡したのは僅か10秒。
「早いね」
『つ、疲れた………よし、先にチケットをください』
ずいっと神威の目の前に手を差し伸べただったが、それを神威はパシンと払い除けた。
「まだだよ『え』 "お背中お流し致します"って言ってたじゃないか」
『時の流れによって記憶が薄れてきています』
「早いね」
タイミングがいいのか悪いのか、お風呂が湧きました♪と電子的な音が部屋に響き渡った。
「じゃあ行こうか」
『ナ~~!!』
半ば引き摺られるようには浴室へと連れていかれた。
*
「ふう~♪いい湯だね」
『あのさ』
「うん?」
『一個言っていい?』
「いいよ」
『なんで一緒に風呂入ってんの』
「裸の付き合い?」
『お前マジでぶっ飛ばすぞ』