第16章 春雨の船って風呂あるの?(禁句
任務から解放された第七師団団員達は、それぞれの自室へと帰っていった。
もちろん、も。
『あーーーーーーー(疲れたーーーーーー)』
疲れた=お風呂 と、解釈し、は部屋に戻った途端、お風呂に湯をためた。
いつもなら『あ~明日起きてから入ろ~』となるところだが、何故か今日は体力が残っていたのだ。
ドドドドド…と湯船にお湯が溜まっていく所を眺めていた。なかなか溜まらないお湯に少しイラつきながら、寝間着となる服をクローゼットから取ってゆく。
その服を持ちながらソファへ腰掛けて、充電器に繋がったままのPSPの電源を入れる。
一つ大きな欠伸をして、PSPを握りしめた。
コンコン
「~」
『ああ、神威か。いーよー鍵しまってないから~~』
遠慮なく入ってきたのは神威。
先程、と同じく任務に駆り出されていた1人だ。
ラフな格好の所を見ると、1度自室へ寄ってから来たのだと思われる。
『何か飲む?そこの棚にコップあるから勝手に取ってね~』
「聞いてよ」
『何さ。さっきの任務で何かあったの?』
神威の問いかけには、PSPから目を離さず右耳だけイヤホンを外した。
「任務じゃないよ」
『じゃあ何、例えば"お風呂壊れました~"みたいなギャグを言いに「そうだよ」 きた……え??』
「うん。お風呂壊れたんだ」
アハッと笑いがこぼれてしまった。
目線はもう神威に向いていて、PSPの内容は垂れ流しだった。
「だからにお願いがあるんだけど」
『まって、嫌な予感する。阿伏兎のとこ行って』
「お風呂貸してくれないかな」
『ワタシ ヒトノ ココロ ヨメル』
「別にいいじゃないか。あ、あとタオル貸して」
『私のことなめてんのか。阿伏兎んとこ行ってよ。なんでわざわざこっち来るの?』
「だってコイビトじゃないかー」
『棒読みやめて~!しかもこういう時だけ彼女フル活用するのもやめて〜!』
「ま、断るのも当たり前か。も子どもじゃないしね」
『珍しい。神威が引いてる…成長したんだなぁ』