第9章 本気でエイプリルフールに挑むべし
食堂で朝ごはんを食べている時、向かいの席に神威と阿伏兎が座った。
神威提督の為か、シェフ達はテーブルにどんどん料理を乗せていく。食器が邪魔だ。
まぁここまでは良くあることだから何も言わない。
だが、今日はここからが違った。
目の前の料理を食べていく神威が急に口元を手で押さえて咳き込み出したのだ。
「…ッゲホ…ゲホ」
『何してんのさ神威。ちゃんと噛んで食べないと………神威ッ!?』
口元を押さえる手から漏れる血。
もう片方の手に持っていたフォークが床にカランと落ちた。
『神威!!』
「ゲホッゲホッ…!」
『阿伏兎まで…っ!?しっかりして!!』
隣の阿伏兎も口から血を吐き出し、咳き込み出した。
ふと周りを見ると、皆も同じように口から血を吐き出して机に伏せている者だらけ。
『…っなんで、こんな……ッチ
動ける者はいる!?いち早く医務室へ連れて行って!!』
「そ、その必要はないよ…」
『! 神威!どういうこと!?』
少し状態を起こした神威に駆け寄り身体を支える。
だって…と続ける神威。
『だって?』
「…今日は、エイプリルフールなんだから」
「もういいか。団長」
「阿伏兎お疲れ様」
『…え。』
机に倒れていた阿伏兎もムクリと身体を起こし、首を回す。
え、え。と戸惑う私に神威が一言。
「バカだなァは。これはケチャップ。」
『エェェェ!!? 演技だったの!?』
「なら気づくと思ったんだがね」
『気づくかァァァ!!』
((朝から心臓に悪いわ!))
K(なかなかの演技力だと思うんだよね)
A(おーい皆もう起きていいぞ。)
((周りもグル!皆して酷!))
K(…あ、皆にはケチャップじゃなくてタバスコだから)
((それエイプリルフールとかじゃなくて本当に死んじゃうやつ!))