第6章 こうして部下が増えてゆく/神威出てきません
ソファに座って、PSPの電源スイッチを押した瞬間に扉の叩く音。游燐早くね!?
少し首を傾げて、開いてますよ〜と声をかけると、遠慮そうにおずおずと入ってきたのは女性。
『いや誰!?』
「えっと……私、副幹部に呼ばれて…」
『……游燐が?』
「はい」
『あ、あいつ資料サボりやがったな。まぁいいや、ここのソファ座って〜!』
私の向かい側のソファに腰掛けた彼女は、戸惑いながら自己紹介をしてくれた。
体格が一般女性より小柄な''海弥''(うみ)ちゃん。
海弥ちゃんは夜兎族で、数々の対戦試練を乗り越えて今に至るらしい。
「で、あの、私達を呼んだ理由は…?」
『あぁ、ごめんね。本当は副幹部の游燐に資料だけ送ってもらうつもりだったのに、まさかのご対面ってね』
私が笑うと海弥ちゃんも少し笑ってくれた。なんて可愛いんだ。
相手が女性って事もあったのか、私達はすぐに打ち解けた。
*
幹部室で、書類整理している游燐の目の前でバーンと一枚の紙を見せつけた。
その紙には綺麗な字で海弥と書かれ、その隣にはハンコが押してある。
『って事で!海弥ちゃんは副幹部補佐になってもらいましたー!』
「単純なバカですね。どういう成り行きでこうなったんですか」
『だって〜笑顔が可愛かったんだもん』
「もん、とか使わないでくださいキモいです『オイ』」
『別にいいでしょ1人や2人、部下が増えたって』
「私は構いませんけど、新規申請の書類と第七師団と元老院への報告は幹部が全て行うんですよ」
『嘘やん』
嘘じゃありません。と游燐が呟いたのは気のせいと思いたい。
((〜って事だから、よろしくゥ!))
A(ハァ!?)
((あ、上にも報告しといてね〜))
A(おい!押し付けか!)