第5章 5
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視界には真っ赤に染まった地面に炎に覆われ崩れた軒並
視線を自分の手に向けると小さな手の中には確かに刀があった
刀から滴る血は次第に自分の体も染め上げていく
背後から声がする
『悔しいか?泣いても助けは来ねぇぞ・・一つ教えてやる・・弱ぇ奴は死に方も選べねぇ』
今なら救える
そう思っても近寄れば人を斬った
自分を刺そうと足掻いても透明な糸に阻まれる
「し・・ね・・ドフラ・・ミン・・ゴ・・」
大きな声で言いたくとも声が出ない
震える体にどうしようもないこの感情に覆われた瞬間
遠くから声が聞こえた
「ベニー・・・・・ベニー」
声を追うと視界が真っ白になった