第10章 はじまりのうた(吉野)
コクッコクッと、喉を鳴らしコーヒーを飲み込む。
ゴホッゴホッと気管に入ったコーヒーでむせる。
裕行さんがニコッと笑った瞬間に察知したものの、時既に遅しで腕を掴まれキスをされた。
「コーヒー飲みたいって言いましたけど…」
不服の視線を向ける。
「ん?何だよ。飲みたいって言うから飲ませてやったのに。」
「………。」
「あんまり怒んなよ。」
そう言うと、私の唇の端をペロッと舐める。
「コーヒー垂れてた。」
「もしかして、キスされると思った?」
「!!!!!」
「何で、そんなに意地悪なんですか?」
「え?………好きなコは虐めたくなるんだよ。」
一気に顔が熱くなる。
「急にデレないで下さい…」
ペタンとアヒル座りをして、眉を寄せる。
寝起きにコレは……
嬉しいけど…
キツいです……。