第32章 wolf(八代)
「食べるなら…残さず食べて」
聞こえる声に息をのむ。
真っ赤になって小さくなる紗友ちゃん。
そんな仕草が可愛くて。
我慢できずに抱きしめる。
「殺し文句だよ。」
そばにいるのが当たり前。
当たり前なんて事なんて1つも無いのにね。
キミが嬉しそうに見せたチケット。
あれは神様が与えてくれたチャンスだったのかもしれない。
怖い思いもさせて、傷つけたけど。
それでもボクはキミが好きなんだ。
ボクの腕に収まる可愛い小さな女の子。
キミの体温が伝わる距離。
もっと近くに感じさせて。
瞼を閉じて纏う空気をキミの香りごと肺いっぱいに吸い込む。
そう。ずっと前から。
そして、これからもキミはボクだけのもの。
『好き』なんて言葉じゃ伝わりきらないと思うけどこの気持ちは少しは伝わるのかな?
「では遠慮なく。いただきまーす。」
今日はイヤと言うほど聞かせてあげる。
覚悟しててね。
END