第10章 はじまりのうた(吉野)
着替えを済ませ、朝食を片付け洗面所で歯を磨く。
「今日は、遅いんですか?」
「あー。今日は少し飲んでから帰るから…」
「楽しんで来て下さいね。」
2人並んで、歯を磨きながら話をする。
口をすすぎ、タオルで拭き取る。
「なぁ?」
「はい?」
「誰と行くとか気になんないの?」
「うーん。全然気にならないと言えば嘘になりますけど…」
「でも、裕行さんには裕行さんのお付き合いがあるので」
「そこまで私が干渉するのは、如何なものかと…」
「ふーん。」
俺は、洗面所の扉を開け廊下に出る。
少し声を張って独り言を呟く。
「今日は、だいさくと飲むんだよなー。」
きっと紗友は、嬉しそうに笑ってる。
照れくさくて、言えないからその表情が見られないのが残念だけど。