第9章 ハレイロ(神谷)
「いっぱい食べた~。」
「神谷くん!ご馳走さま!!」
「私まですみません。」
「いやいや。良いよ。楽しかったし。」
「ご馳走さまです。」
「こちらこそ、楽しい時間をありがとう。」
「神谷くん!」
「何?」
「車だよね?」
「そうだけど?」
「紗友って神谷くんの家の方向と一緒なのね。」
「だから、送ってあげて。」
「え!?美咲!何言ってるの!?」
「私は~会社に忘れ物しちゃって…一旦戻るから~」
「ほら。こんな時間だし!」
腕時計を指差し文字盤をトントンする。
時間は0時少し過ぎ。
「こんなに綺麗な女の子を一人タクシーに乗せるなんて…私!心配なの。」
「だから!神谷くん。よろしくね!」
「さぁ。車を持ってきて下さい。待ってるからね。」
「美咲!」
「あはは。美咲さんは言ったら聞かないから。」
「紗友ちゃんが大丈夫なら送っていくよ?」
「………申し訳ないです…」
「はい!決まり!神谷くんよろしくね。」
美咲は、神谷さんの背中を両手で押してトンっと力を込めた。