第2章 with YOU (平川)
細身のベージュのパンツに、白のシャツを着た平川さん。
見慣れた笑顔に胸がぎゅぅっとする。
「ご苦労さま。わざわざごめんね。」
そう言って、私の手に持つ紙袋を取り上げる。
「重かったでしょう?」
「いえ…大丈夫です。」
「そんなこと言って、ほら…手が赤くなってる。」
紙袋を胸に抱え、右手で私の手のひらを擦る。
「ごめんね。」
平川さんの言動や行動に自分の心臓がうるさくなるのを感じて、私はすぐにでもその場を立ち去りたかった。
「あのっ!用は済んだので、帰ります!」
「え…?」
すごく悲しそうな表情になる平川さん。
「忙しいの?この後、予定とかあるのかな?」
申し訳なさそうに私に問う。
「いえ…予定は無いですけど…平川さん…お忙しいと思って…」
「次の仕事は夜だから、それまではゆっくりするつもり。お茶でもどう?」
その言葉に胸が躍る。
「良いん…ですか?」
「良いに決まってるでしょう?お礼させてよ。」
「じゃあ…少しだけ。」
そう言うと、平川さんは私の手を引き廊下を進んだ。