第2章 with YOU (平川)
ピーンポーン
ガチャ…
「はい…」
「こんにちは。紗友です。兄に頼まれたお届けものをお持ちしました。」
「今、開けるね。入ってきて。」
マンションのエントランスのドアが開く。
いつ来ても、立派なマンション…
天井高いし、照明一つ一つが品があって別世界の人だって実感させられる。
エレベーターに乗り、目的の階のボタンを押す。
窓から眺める景色は、グングン上がるエレベーターに比例するように次第に広がる。
「良いお天気…」
遠くには富士山。
「今日は、一日中晴れるのかな?」
独り言を呟く。
チーン
目的の階に辿り着き、エレベーターの扉が開く。
「紗友ちゃん。いらっしゃい。」
「ひっ平川さん!」
突然の登場に声が裏返る。