第7章 if(入野)
私のカレは、『声優さん』
歌も歌うし、舞台にも出演する人気者。
カレと出会ったのは、ある雑誌の対談だった。
ここ数年で、雑誌の表紙を飾る機会も増え、TGCでも歩けるようになって初めて呼ばれた対談。
モデル仲間との対談なら何度か経験してるものの、異業種で、しかも男性との事で緊張でガッチガチだった。
対談が始まる少し前に、『緊張し過ぎている』と言う話をスタッフさんから聞いたカレは私の楽屋まで来てくれた。
初めて見た瞬間に、モデル仲間とは違う雰囲気を感じ取れるくらい存在感がある人だった。
「そんなにカタくならないで下さいよ?」
「オレは、貴女みたいに綺麗な人と話したこと無いので緊張しちゃいますけど…」
「貴女は、オレなんかよりもっと格好良い人と沢山お話してるんですから(笑)」
「気軽に話しましょうよ。ね?」
そんな風に私の緊張を解してくれた。
後に招待された舞台で、カレの演技を観てグイグイ引き込まれた。
歌を聴いて、ドキドキした。
カレの出演作を観て、声だけでこんなに表現できるのかと感心した。
何にでも一生懸命な姿にどんどん惹かれる自分に気付いた。