第7章 if(入野)
リビングの床に寝転び、足をバタバタさせる。
ミューは、その足にじゃれついている。
「痛っ!」
「ん?どしたの?」
「ミューにやられた…」
ふくらはぎには5センチ程引っ掻いた痕がある。
そこからはうっすらと血がにじんでいる。
「血出てるけど…」
「えっ!嘘っ!!」
「明日、撮影なのに!」
バッと起き上がり、傷の具合を確かめる。
オレのカノジョは、モデルさん。
ある雑誌で、異業種の対談が組まれそこで出会った。
モデルなんて、話しにくいと思っていたのにカノジョは違った。
そして、少し背が低いと言うコンプレックスを覆す為にかなりの努力をしている姿に惹かれた。
話をするとクシャッとなる笑顔が可愛い。
対談中は、コロコロ変わる表情に目が離せなくなった。
いざ、撮影になるとガラッと雰囲気が変わり凜とした表情を見せる。
色気を纏う姿に虜になった。