第3章 sniper (岡本)
バタン。
運転席にまわり、念を押すように話しかける。
「ノブ…絶対に何もするなよ?」
「分かってますよ。」
「その言葉を信じるからな。」
「は~い。お疲れさまです。」
「本当に大丈夫かぁ?」
「大丈夫ですよ。では、おやすみなさい。」
運転席のパワーウィンドウを閉め、アクセルを踏む。
「大丈夫ですよ。」
「オレの想いを伝えたって、誰も幸せにならないんだから。」
「この想いを胸に、突き進むのみですよ。」
紗友さんの寝顔をバックミラーで盗み見ながら、自分に言い聞かせるように呟いた。