第29章 strawberry(梶)
「うーん。うーん。」とうなり続ける紗友ちゃん。
「あはは。」
思わず声が出てしまう。
「そんなに悩むなら、2種類頼めばいいよ。」
「紗友ちゃんが、すごく食べたい方を自分の分にすればいい。」
申し訳無さそうに見つめる瞳。
「あ。あとこの今月のクリームソーダって言うのも飲んでみようか?」
「今はイチゴだってさ。」
「今月のって事は毎月違うのかな。」
「それはそれで気になるね。」
メニューを何度か往復しているうちに紗友ちゃんも心を決めたらしく、うんっと大きく頷いた。
「2種類は、さすがに気が引けるのでこっちを頼みます!」
指差した写真のパフェは、大きな苺が目を引く。
「じゃあ、オレはこのクリームソーダにするよ。」
「梶さん、食べないんですか?」
「うん。多分食べきれないし。」
「今日は、こっちにするよ。」
手を軽く上げると数秒も掛からずに店員さんがオレたちの元に来てくれる。
「このパフェ1つと…このクリームソーダをお願いします。」