第29章 strawberry(梶)
ようやく案内された店内。
エスカレーターを上り階段を数段あがると目の前に広がる部屋。
天井も高くて。
高級感が漂う店内。
ついキョロキョロ見てしまう。
「こちらで宜しいですか?」
窓際に案内され、椅子に座ろうと屈めばスッと椅子を押してくれる。
店員さんが立ち去るのを確認して、梶さんを見つめた。
「特別って感じがするね。」
そう言って微笑む。
「さて。目的のパフェ。食べるんでしょう?」
目の前に広げられたメニュー。
そこには念願のイチゴパフェ。
開いたメニューには違う種類のイチゴを使ったパフェが2つ。
これは予想外…
「梶さん…どうしましょう…。」
目の前に座る梶さんを見れば、心配そうに私を見つめる。
そんな視線を向けられる程の悩みでは無いけれど。
今の私には死活問題。
「2種類あるとは思って無かったです…」
もう一度メニューに視線を落とせば溜息が出る。
「困りました……。」