第25章 obediently(入野)
「もしもーし。彩美華ちゃん?」
「あのさ。紗友と連絡取りたいんだけど。」
(は?何都合の良いこと言ってるの?)
「いや…だから…」
(紗友が…自由くんがアメリカに行ってから、どれだけ我慢してどれだけ傷ついたか分かってるの?)
「………」
(最近じゃご飯も食べられないし。眠れないって言ってた。)
(そんな風にした自由くんを許さないから。)
「彩美華ちゃん…言わなくても伝わるって…俺の驕りだったんだ。」
「甘えすぎてた。」
「連絡を怠ったのは俺の責任。」
「ね?もう一回だけ俺にチャンスをくれないかな?」
「失って気付いたんだ。」
「紗友がどれだけ大切か。」
「今まで言えなかった事だって沢山あるんだ。」
「それを紗友に伝えたい。」
「俺が好きなのは、これからもこれから先も紗友だけなんだ。」
(……もぅ…仕方ないな…聞いてるこっちが恥ずかしい。)
(じゃあ、連絡先送っておくから。)
「ありがとう。すぐに帰国するよ。」
画面をタップし、搭乗口へ向かった。