第25章 obediently(入野)
画面を見ると登録の無い番号からの着信。
「今日で何回目かな。」
昨日から、たまに掛かってくる番号。
もう見慣れた。
「誰だろう…」
……自由だったら…?
逃げたくせに未練がましい。
そもそも自由の番号を覚えて無かったんだな…と。
画面を見つめると苦笑してしまう。
暫く見つめ続けると、すぐに切れた。
まぁ留守電設定してるし。
用があればメッセージ残すだろう。と近くにあったソファーに投げ捨てる。
仕事に支障が出るほどプロ意識無いわけじゃないけど。
テレビを観ても何も頭に入らない。
友人と話をしても、気付くとボーッとしてしまう。
ご飯も食べたくないから、殆ど食べない。
心配されてバランス栄養食を渡され、最近はそればかり。
夜だって寝てもすぐに起きてしまう。
………。
全ての原因は分かってる。
自分から離れたはずなのに。
机に頬を付けて大きくため息を付く。
「自由…本当は会いたい…。」
瞼を閉じても止めどなく流れ続ける涙。
一人になればやることはいつも一緒。
記憶を辿って、貴方の温もりを思い出すの。
何度泣いたんだろう。
こんな自分が大嫌い。