第3章 sniper (岡本)
「かっきーさん!お疲れさまでした!!」
ノブくんは、楽屋に入るなり大声で徹也さんに近付く。
「おー!」
「お疲れー。」
「来てくれて、サンキューな。」
「お疲れさま…です…。」
ノブくん後ろに隠れながら、ちょこんと顔を出し声を掛ける。
「おい!紗友!何でノブの後ろに隠れるんだよ。」
腕を掴まれ、引きずり出される。
まだ汗が引かないようで、首には汗が伝っている。
声も少しかすれて、ライブに全力を向けたのが覗える。
そんなことを考えながら、ジッと顔を見つめていると…
「何だよ…あんま見んな!」
今度はそっぽを向いて、私に背を向ける。
「かっきーさん!紗友さんが『王子さまみたい』って言ってましたよ?」
「!!!!!」
「ちょっと!ノブくん!!」
顔が一気に熱くなる。
恥ずかしくなって、徹也さんを見上げると…
手で口元を隠し、そっぽを向けている。
「おいおい…見せつけるなよ…」
声のする方に視線を向けると…