第3章 sniper (岡本)
「良平さん!」
「どうも~♪」
テーブルにもたれて、軽く手を振る良平さんと目が合った。
「ライブにいらっしゃってたんですね!」
「うん。紗友ちゃんとノブのすぐ近くに。」
「え!?言って下されば良かったのに…」
「何か掛けずらい雰囲気だったからさ。」
「え?」
「いやいや。何でも無いよ。」
「紗友ちゃんにプレゼント。」
良平さんから渡されたのは、ライブ中に宙を舞っていた紙飛行機に見立てたハートだった。
「わぁ!良いんですか?」
「もちろん♪可愛い女の子には優しくしなきゃね。それが男ってもんでしょ。」
「ありがとうございます。」
ハートを口元に寄せ、肩をすくめてお礼を言った。