第22章 honey(宮野)
カ…チャ…
なるべく音を立てないようにカギを開けて玄関の扉を開く。
歩みを進めベッドルームのドアを少し開くと真っ暗な室内。
近寄れば規則正しく掛け布団が上下する。
「紗友…」
鞄とジャケットを音を立てないように床へ置いて、紗友の額に触れればそれ程高くない体温にホッと胸を撫で下ろす。
「熱は無いみたいだね。」
それだけで自然と笑みが溢れてしまうよ。
紗友の顔の横に両肘を付けて眺めれば、何度も触れた柔らかい感触を求めてしまう。
「ダメだ…ガマンできそうに無い…」
自分を制し、腰の辺りに移動し床に座り冷たいシーツに頬を寄せる。
「バレないうちに帰らないとな…」
呟いて瞼を伏せる。
少しだけ…少しだけ……