第22章 honey(宮野)
「『絶対にダメ!』って言われてもねぇ。」
腕を組んで、天井を眺める。
「宮野さん…顔…」
「え?」
「よからぬ事を考えてる顔してますけど。」
「へへへ。今日は忍者にでもなろうかな。」
「は?」
「気配を消すんだ。」
「大変申し上げにくいんですけど、一番不得意ですよね…。」
呆れたように苦笑されると、否定できないのが辛いとこだけど…。
「ヒドイな。出来るし。」
「ははは。拗ねないで下さいよ。」
「カノジョさんのとこ行くんですか?」
「そう。病に伏せってる愛しのハニーの元へ。」
「大丈夫なんですか?」
「風邪って言ってたから大丈夫じゃないかな?」
「さっき話したし。」
「そうなんですね…じゃあ」
そう言ってカバンの中をガサガサする良平。
「これ。どうぞ。」
差し出された手にはアメの袋。
「ハチミツ生姜?」
パッケージに印字された文字を読む。
「はい。良かったら、どうぞ。お見舞いの品です。」
「おぅ。サンキュー。」