第22章 honey(宮野)
(もしもーし)
(紗友?鼻声?もしかして、風邪?)
「そうなの…うつす訳にいかないから、家に来ちゃダメだからね!」
(えー)
(久々に早く終わったのに…)
(ちょっとだけでも)
「絶対にダメ!」
「大声出したら頭痛くなってきちゃった…」
「今日は、もう寝るね。おやすみなさい。」
(うー。分かった…)
(暖かくして寝るんだよ?)
(お大事にね。おやすみ。)
電話の向こうで、きっとシュンとしてる。
私だって…本当は……。
でも。
私のカレは人気の声優さん。
そんなカレに風邪なんて絶対にうつせない。
自己管理の無さに泣きたくなる。
本当は…本当は…すぐにでも会いたいのに…
クシャッと笑う顔に抱き締めてくれる腕。
温もりを思い出しながら、布団に包まり自分自身を抱きしめて瞼を閉じた。