第14章 short(達央)
コンビニの袋を左手に提げ、リビングのドアを開ける。
「ただいま」
何も聞こえない。
怒ってんのか?
膝を抱えて床に寝転ぶ紗友。
「寝てんのか…」
スヤスヤ眠る横顔を覗き見る。
「おーい。」
頬を人差し指でつつく。
「ん…」
迷惑そうに眉をひそめ、手で祓う仕草をする。
『どうでもいい』
何で、あんな言葉出たんだろう。
髪なんて、長くても短くても紗友がしたいようにすれば良い。
床に寝転ぶ紗友を抱き抱え、ベッドに運ぶ。
気持ちよさそうに寝息をたてる紗友。
そっと唇にキスをする。
「どんな風にしたって似合うんだから…」
今、どんな顔してるんだろう。
顔を右手で隠す。
「誰も見てないのにな…。」