第14章 short(達央)
目覚めるとベッドの中にいた。
「リビングに居たはずなのに…?」
横を見ても、誰もいない。
「タツ…?」
枕のへこんだ部分や、シーツを触っても温もりは感じられない。
「もう仕事行っちゃったのかな。」
ちゃんと話したかったんだけど…
部屋の片隅のカレンダーをふと見る。
金曜日から日曜日まで『福岡→』と言う文字を見つける。
「あ…ライブで福岡行くって言ってたんだった…」
「起こしてくれれば良いのに。」
再び布団に包まり、スマホの画面を確認する。
「音信不通…」
ライブに集中して欲しいし。
「我慢しよう。」
自分に言い聞かせるように何度も何度も繰り返す。