第11章 VOICE(達央)
「桐島!この前はごめん!」
スタジオに入るなり、達央さんは私に深々と頭を下げる。
「鈴木さん。気にしないで下さい!」
「飲む前に風邪薬飲んじゃって…回りが早かったみたいで…」
「本当に大丈夫ですから!」
私のその言葉を聞くと、達央さんは私を上目遣いで見つめる。
「許してくれるか?」
「はっはい!」
「良かったぁ。」
「あの後、鳥さんと諏訪部さんに叱られてさ…」
「抹殺させられるかと思った…」
頭に手をあて、フラッとする。
クスッと笑うと達央さんは、笑い事じゃない!とムキになる。
「あ。これからは『鈴木さん』じゃなくて『タツ』って呼んで。な?」
「はっはい!」
「俺は紗友って呼ぶ。良いな?」
「はい!!」
「良い返事だ。」
ニカッと笑うと達央さんは、私の頭をクシャッと撫でた。