第2章 ~第一章~二人の想い
―ゼノside―
(今日も遅くなってしまったな…さすがにユヅキは寝ているだろうな)
そう思い、そっと寝室の扉を開くと勢いよくユヅキが抱き付いてきた。
ゼノは驚きつつも、嬉しくて頬を綻ばせながらユヅキを優しく抱き止めた。
ユヅキ「…おかえりなさい、ゼノ様」
そうしてゼノの胸元に幸せそうに顔を埋め、頬擦りしてくるユヅキを見てゼノは少し頬を赤く染めながら、小さな背中を優しくぎゅっと抱き締め直した。
「まだ起きていたんだな。ただいま、ユヅキ」
そう言ってユヅキの顔を覗きこみキスをしようとしたが、その寸前でゼノはピタリと動きを止めた
それを不思議に思い、ユヅキが首を傾げるとゼノは少し眉を寄せながらユヅキに尋ねた。
「どうした、何かあったか?」
ユヅキ「…え?いえ、特に何も…」
そう言って目を反らしたユヅキをゼノはじっと見つめた。
(…少し、目が赤く腫れている。ユヅキはきっと俺がいない間に泣いていたんだろう)
そう思うと胸が締め付けられ、ゼノは更に眉を寄せた。
(最近は、あまり会う時間がなかったからな…そのせいでユヅキに寂しい想いをさせて、俺が泣かせてしまったのだろうか)
自分が知らない間に、ユヅキが一人で泣いていたのかと思うと切ない気持ちになり、ゼノは腫れたユヅキの瞼にそっと口づけをした。
「ユヅキ、寂しい想いをさせてすまない…」
そう言って謝ると、ゼノをじっと見つめたユヅキがそっと口を開いた