第3章 ~第二章~沢山の思いやり
「では、俺はすぐに出掛けるが、ユヅキの着替えや世話は頼んだぞ」
メイド「はい、お任せ下さい」
その返事を聞いて安心し、僅かに笑みを浮かべたゼノは、アルバートと一部の騎士団達の元へと向かった
―――――…
「アル、それから皆へ至急、頼みたいことがある」
アルバート「…何かあったようですが……一体どうされたのですか、ゼノ様」
「…ユヅキが倒れた。詳しい話は後だ。とにかく今はここにいるアルバートと、騎士団達ですぐに優秀な医師を見つけ、連れて来て欲しい」
アルバート「…ですが、ゼノ様。このあとまだゼノ様には公務が……」
「公務へは馬を使って、俺が一人で行って終わらせて来る。それが終わり次第、俺も合流して医師を探そう。…それまでは悪いが、お前達だけで頼む」
アルバート「ですが、騎士を一人も連れて行かず、もしゼノ様の身に万が一のことがあれば…!!」
「今はそれどころではない。それに俺も、剣術は多少できるから問題ない。とにかく今はユヅキのために、優秀な医師を見つけることが先決だ。…分かれば、早く行け」
あまり見せないゼノの動揺した表情と、息を呑む程の威圧感に後押しされるように、アルバート達は渋々ながらゼノの希望に添えるよう、医師を探しにそれぞれ散らばって行った