第2章 ~第一章~二人の想い
――その日の深夜―…
―プリンセスside―
(ゼノ様…今夜も遅くまで公務に励んでいらっしゃるのかな…)
(私にも、ゼノ様へ何かできることがあればいいのに…)
そう思い、ベッドの上であの絵本を抱き締めているとドアが小さくノックされた
――コン、コンッ―…
(……こんな時間に誰だろう…?)
不思議に思い、首を傾げつつも"どうぞ"と声をかけるとゆっくりと扉が開き、そこにはユーリが立っていた。
「ユーリ、こんな時間にどうしたの?」
ユーリ「遅くにごめんね、ユヅキ様。まだ部屋の灯りが点いていたから、今夜もゼノ様を待っていてなかなか眠れないのかと思って、紅茶を持ってきたんだ」
そう言ってニッコリ笑いながら、ユーリがミルクティーを差し出してくれた。
「暖かくて美味しい…ありがとう、ユーリ」
そう言って笑顔になる私を見て、ふとユーリが思い出したように口を開いた。
ユーリ「そういえば今日、昼間に執務室の前を通った時にたまたま聞こえてきたんだけど…ゼノ様が官僚の方とお世継ぎの件についてお話してたみたいだよ」
「…っ!?おっ、お世継ぎの件…!?」
思わず飲んでいた紅茶を吹き出しそうになったが、なんとか堪えた私は、耳まで赤く染まった顔を隠すように、冷静を装ってユーリに尋ねた。