第3章 ~第二章~沢山の思いやり
それから程なくして、いくつかの足音が私の部屋へと向かって来ているのに気付いた。
(……誰…?)
そう思い、上半身を起こして扉の方を見つめていると突然、勢いよく扉が開いた。
ゼノ「待たせたな、ユヅキ」
そう言ってゼノ様は私のいるベットの前へ来ると、そっと私を抱き締めてくれた
「…っ、おかえりなさい、ゼノ様」
私がゼノ様の背中に腕を回すと、ゼノ様は私の髪を優しく撫でながらそっと囁いた
ゼノ「寂しい思いをさせてすまない。今、優秀な医師を連れて来たから入ってもらっても構わないか?」
「えっ…、ゼノ様は公務で城を離れていらしたのに、どうして私が倒れたことを知っていたのですか…?」
ゼノ「あぁ…、時間があったから一度、ユヅキに会いに俺は城へ帰って来たからな」
そう言ってゼノはふっと微笑んだ
「あの…、では、もしかして私をベットへと運んで下さったのはゼノ様ですか…?」
ゼノ「あぁ、そうだ。…まさか声を掛けようとしたら、いきなり倒れるとは思わなかったがな」
「…っ、やっぱり、私をベットまで運んで下さったのはゼノ様だったのですね…ありがとうございます」
ゼノ「気にするな。それより、今は先に医師に診てもらおう。話はそのあとだ」
そう言って、ゼノ様は医師と入れ替わるようにして部屋を出ていった