第3章 ~第二章~沢山の思いやり
―――数時間前――…
―ゼノside―
(少し、時間が出来たから、ユヅキに会いに行くか)
そう思い、シュタイン王国の廊下を歩いていると、少し先に壁に手を付きながら、体を引きずるように歩くユヅキの姿を見つけた
(…?具合が悪いのか…?)
その姿に不安を覚えたゼノが眉を寄せながら声をかけ、駆け寄った瞬間、ユヅキの体が傾いた
「……ユヅキっ!!」
驚きつつも慌ててユヅキの体を抱き留めると、ユヅキは安心したように腕の中でふっと体の力を抜いた
「……っ…」
心配になり、彼女の額に自分の額をつけてみると、少しユヅキの体は暖かく熱があるようだった
(俺が帰る前に公務を終わらせようと、ユヅキに無理をさせてしまったのだろうか…)
連日の忙しさで、ユヅキの公務をなかなか減らすことができないことを歯痒く思いつつ、彼女を抱き抱えたままゼノは部屋へと向かった
―――――…
彼女の部屋へ着くと、抱き抱えていたユヅキをそっとベットへと寝かせた
(少し汗をかいているから、着替えさせないと、このままじゃ風邪が悪化するな)
そう思い、ユヅキをドレスからネグリジェへと着替えさせようとしたものの、意識のないユヅキを見て一瞬眉を寄せた
(…いくら夫婦で見慣れているとはいえ、さすがに意識のないユヅキを俺が脱がせるわけにはいかないな)
そう思ったゼノはメイドを呼びに、もう一度廊下へと踵を返して行った