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【HQ】恋愛クロニクル【東峰旭】

第12章 合宿最終日ー試合前ー


「今日はいよいよ音駒との練習試合だな」

すでに軽くロードワークを済ませ、体は温まっている。
『因縁』の相手である音駒との練習試合を控え、今日の部員達はみな身体も心も熱くなっているようだった。

澤村が部員の顔を見回す。
毎日朝から晩まで練習を続けて、それも今日で4日目だ。
さすがに多少の疲れはあったが、それでも誰1人として「もうこれでいい」なんて顔をしている者はいなかった。

新しい部員、コーチ、マネージャー。
少しずつ、だが確実に変化しているバレー部に、澤村の胸は躍っていた。

「練習試合は午後からの予定だ。合宿も最終日だ。皆、気合入れていくぞ!」

澤村の掛け声に、部員達が大きな声で応えた。
体育館に響く声に、マネージャー2人も気合が入る。

「練習試合楽しみですね」

「そうか、美咲ちゃんはまだ他校との試合見たことないんだっけ。ふふ、東峰のスパイク楽しみだね」

清水が後輩の黒崎にいたずらっぽい笑みでそう言うと、黒崎は顔を真っ赤にして否定した。
けれどそれが本心からのものではないことは誰の目にも明らかだった。

「あ、そうそう。音駒高校の人達が到着したら、体育館まで案内お願いしてもいいかな」

「は、はい。…私でいいんですか?」

「うん、お願い。私は体育館の設営とかやるから」

「分かりました」

マネージャー2人いるとはいえ、清水の方が3年間の経験がある分、そういった区別が明確にないとはいえ、『正』マネージャーであるのは清水であることに間違いない。
音駒高校と初めて顔を合わせるマネージャーが自分でいいものか、黒崎は少し悩んだ。
けれど昨日、東峰や澤村に言われた言葉を思い出して、考えを改めた。

(もっと自信持っていいんだ…潔子先輩が任せてくれるっていうんだから、自信持って、任された仕事を全うすればいいんだ)

よし、と気合を入れ直して、黒崎はマネージャーの仕事に取り掛かったのだった。


******

「黒崎さん、音駒のみなさんが到着されたようなので一緒にお願いしますね」

「はい」

武田先生と共に黒崎は校門へと向かった。
予定より少し早い到着だったが、部員達はもう準備万端といった感じで、武田先生と黒崎の背中を見送った。
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