第11章 合宿3日目
「っ、みなさんが助けてくれたからです!ありがとうございます!」
勢いよく部員に向かって頭を下げた。
瞬間、しん、と静かになってしまったので顔を上げるのに少しためらってしまう。
「…本当に、お前は。どこまでも謙虚な奴だな」
澤村先輩が苦笑する。
顔を上げて隣の旭先輩を見ると、いつもの優しい雰囲気で微笑んでいた。
「お前が頑張ってるのはみんな認めてるから。もっと自信持っていいんだからな」
どうしてこう、ここの部の人達は人が嬉しくなるツボを押さえているのだろう。
思わず潤んでしまう瞳を、先輩達に気付かれない様にまばたきをして誤魔化した。
「よし!じゃあ食うか!!いただきます!」
「いただきまーす!!!」
みんなで賑やかな食卓を囲む。
あっという間にカレーをかきこんだ田中先輩と西谷先輩が、潔子先輩におかわりを催促し、むせる日向を月島君が嘲笑い。
いつもの光景に自然と目が細くなる。
また明日も、明後日も、その先も。
みんなと過ごす時間がずっと続けばいいのに、と1人思うのだった。