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【HQ】恋愛クロニクル【東峰旭】

第11章 合宿3日目


「…美咲ちゃん、ごめんね。1日休んじゃって」

「いえ!それより体調はどうですか?」

「うん、やっと痛みおさまってきた」

「よかった…もうすぐ夕飯ですけど、食べられそうですか?」

「うん、準備して行くね。美咲ちゃん先に行ってて。色々やることあるだろうし。任せっぱなしで悪いけど」

「分かりました。じゃあ調理室で待ってますね!」

顔色もよさそうだし、受け答えの感じもいつもの潔子先輩なことに安堵して、調理室へと戻る。
調理室では練習を早めに終えた部員達がすでにいて、配膳の準備を行っていた。
澤村先輩が私に気付いて声をかけてくる。

「黒崎、お帰り。清水は大丈夫そうか?」

「はい、だいぶよくなったみたいです。もうすぐこっちに来られると思います」

「そうか、良かった」

爽やかな澤村先輩の笑顔に、つられて私も笑顔になる。
菅原先輩がエプロン姿のままみんなのお皿にカレーをそそいでいく。
部員達に「エプロン姿が異様に似合う」と言われ、菅原先輩は喜んでいいのか困った顔で笑っていた。

潔子先輩の分も配膳を終わらせた頃、潔子先輩が調理室へとやって来た。武田先生も一緒だった。

「潔子さーーーーーん!!!」

「こら田中、西谷!大きな声を出すな、うるさい」

今にも潔子先輩に飛びつかんばかりの勢いの田中先輩と西谷先輩を縁下先輩がぐっと抑える。
2人はしょんぼりしながらも、ようやく会えた潔子先輩に感動して目に涙を浮かべて潔子先輩を拝んでいる。

「今日はごめん。みんなに迷惑かけて」

潔子先輩が頭を下げると、部員達は一斉に首を振った。

「誰だって体調悪い時くらいあるだろ。気にするなよ。それに、その分、美咲ちゃんが頑張ってくれたよ。な?」

菅原先輩が二カッと笑いながら私の背中をぽんと叩く。
旭先輩も優しく笑って、「うん。本当によく頑張ってたな」と言って頷いてくれた。
他の部員達も、静かに頷く。
潔子先輩が私に向き直って、ありがとう、と頭を下げた。
みんなは褒めてくれたけれど、正直1人じゃまだうまく動けていなかったと思う。
みんなに助けてもらったから、今日1日なんとか乗り切れた。
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