• テキストサイズ

【HQ】恋愛クロニクル【東峰旭】

第9章 GW合宿 2日目 東峰side


普段バレーのことばかりに夢中で、あまりそういった恋愛の話などしないものだから、菅原は余計にそのことが気になって仕方が無かった。

「おふたりさん、そろそろここ閉めるぞ」

そんな菅原の心配などお構いなしに、澤村が2人に声をかける。
それまで周囲のことなど忘れていたかのように、澤村の言葉にハッとした顔をして、また2人で照れ笑いの顔を見せて、東峰と黒崎は促されるまま調理室の外へ出た。

たとえ黒崎が東峰の好みのタイプではなかったとしても。
澤村も2人の様子を『カップルのよう』だと認めていたのだから、あの2人がくっつく可能性はそれなりにありそうな気がする。
1人うんうんと納得した様子で、菅原も調理室を後にしたのだった。


******

「あー…今日も潔子さんと同じ一つ屋根の下……幸せすぎる…」

「また言ってるよ…」

枕を抱きしめながら布団の上を転がる田中を、縁下が呆れた顔で見つめている。
いつものように田中は西谷と2人で清水のことで盛り上がっている。
普段の部活中でさえ、清水のことで一喜一憂する彼らのことだ。合宿で寝泊まりする部屋は離れているとはいえ、同じ宿舎で清水と寝食を共にすることが嬉しくて仕方がないのだろう。
そういえば昨日も同じ感じで、寝る直前まで2人は騒いでいたのだった。
大地がキレるまで、田中と西谷の清水談義は続いていた。

「お前らホント好きだよなぁ、清水のこと」

何の気なしに口をついて出た言葉に、西谷と田中がすごい勢いで食いついてくる。
縁下が「あーぁ」と言った顔で遠巻きにこっちを見ているのが見えた。しまった、と思った時には時すでに遅し。
あっという間に2人に取り囲まれてしまう。

「そりゃあ!俺達潔子さんに心酔してますから!!」

「お、おう…そうだな…」

そこから、2人に清水の素晴らしさを延々と聞かされる羽目になった。
途中で遮って話を終えさせる勇気もなく、俺はただうんうんと頷くしかなかった。

『ピンポンパンポーン』

そんな折、珍しく館内放送が鳴った。
田中と西谷も口を開くのをやめ、部屋に備え付けられた放送設備へと目を向ける。
チャイムの後やや間があって、武ちゃんの声が聞こえてきた。
/ 460ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp