第9章 GW合宿 2日目 東峰side
合宿も2日目。
今日は夕飯後の片付けに、部員何名かも参加することになった。
昨日、マネージャー2人に夕飯の後片付けを任せっきりにしてしまい、そのせいでマネージャー達のお風呂の時間が短くなってしまったらしい。
朝から晩まであれやこれやと忙しそうにしている清水と黒崎の2人には皆感謝していたし、むさくるしい男集団の中で4日間とはいえ過ごすのだから、お風呂の時間くらいはゆっくりしてもらいたい。
そう思った東峰は、菅原や澤村に声をかけて、食事後の片付けを手伝うことにしたのだった。
「ありがとうございます、旭先輩」
「いやぁ、このくらいなんてことないよ。昨日はそのまま任せちゃってごめんな。今日はゆっくり入れそうだな、風呂」
「そうですね。先輩達が手伝ってくれたおかげです。気を遣ってくださって、ありがとうございます!」
にっこりと1年生マネージャーの黒崎がお礼を言うと、東峰の顔も自然と緩んでいく。
東峰よりもずいぶんと小柄な彼女は、いつも明るい笑顔で東峰と接している。
彼女の可愛らしいその容姿の影響もあってか、東峰も自然と、彼女と接する時は普段より一段と柔らかい雰囲気になる。
普段、彼女のような女子からは怖がられることが多い為、彼女のように笑顔で接してくれるというのは、東峰にとって新鮮でちょっぴり嬉しいことであった。
「(…なんかさぁ、新婚さんみたいに見えねぇ?)」
「(同棲初めたてのカップルにも見えるぞ)」
菅原と澤村は、いつものようにお互いに微笑み合っている東峰と黒崎2人の姿を遠巻きに見つめ、囁き合った。
「(何、あの2人、そういう関係なのか?)」
「(いや、まだ付き合ってはないべ)」
こそこそと話す澤村と菅原の視線の先の2人は、自分達のことを話されているとは露知らず。
相も変わらず、にこにこと微笑み合いながら会話をつづけている。
「(しかしまぁ、あの旭がねぇ…今度はうまくいくといいが)」
「(美咲ちゃんなら大丈夫だと思うけどなぁ。ほら、最初から怖がってる感じなかったし。旭のへなちょこ具合も分かってるだろうし)」