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【HQ】恋愛クロニクル【東峰旭】

第45章 【過去編】 あの頃のぼくらは



何度も何度も頭を下げる義明の母さんに、うちの母さんは大丈夫よ、と声をかける。

相談にのりますよ、と母さんが言うと、義明の母さんは泣き崩れてしまった。
大人があんなに泣くのを見たのは初めてだった。

義明は、無表情でその場に立ち尽くしていた。


*********

それから、義明と美咲ちゃんがちょくちょく家に遊びに来るようになった。

遊びに来る、というよりも、一緒に過ごす、といった方が正しいかもしれない。

一緒に夕飯を食べたり、お風呂に入ったり、少しずつ俺の家に二人がいる時間が長くなっていった。

父さんは始めはあまりいい顔をしていなかったけど、母さんの気迫に負けて、二人が家にいることに何も言わなかった。

始めのうちは、義明も美咲ちゃんもぎこちなくて居心地悪そうにしていたけど、少しずつ俺の家で過ごすことに慣れてきたようで、みんなでゲームをしたり、出かけたりするようになった。

しばらくすると、義明の暴力もほぼなくなり、美咲ちゃんが変な笑顔を見せることも少なくなった。

ある時から、美咲ちゃんが俺をこう呼びだした。

「やくのおにいちゃん」

俺はそれに笑顔で応える。

一人っ子だったから、急に出来た妹が可愛かった。

「家族が増えたみたいね」

俺達を見て、母さんがそう言って笑った。

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