第44章 久しぶりの団欒
「……そうね。ごめんね、美咲ちゃん見苦しいもの見せて」
「いいえ…むしろ、私の方こそご迷惑をおかけして申し訳ないです」
「迷惑なんて思ってないわよ。あなたが悪いんじゃないの。…私が少し感情的になりすぎただけよ」
「お菓子だったら俺食ってもいい? 腹減っててさ」
のんきな息子に、真由美は脱力させられたようで、どうぞ、と小さく答えた。
「なんのお菓子?」
「さぁ……特に中身については言っていなかったけど…」
紙袋から出てきたのは、真っ白な和紙で出来た包装紙が巻かれた長方形の箱。
衛輔が丁寧に包装をといていくと、桐の箱が現れた。
「上品そうなお菓子だね」
「和菓子系かな」
お腹の音を鳴らしながら、衛輔が箱を開けると、そこにはお菓子の姿はなかった。
「……は?」
その場にいた全員の時が一瞬止まった。
箱に詰められていたのは、札束だったのだ。
「ちょ、何これ」
衛輔が驚きの声をあげる。
それに続くように、真由美が守を責め始めた。
「だから言ったのよ、こんなもの受け取らないでって」
「そんなこと言われても……俺だって中身がお金だと分かっていたら受け取っていなかったよ」
白い帯のついた札束が三つ。
綺麗に箱におさまっていた。
「こんな大金、どうするのよ」
「お返しするしかないだろう……」
「連絡先は? ちゃんと聞いたの?」
「いや、渡すだけ渡して帰っちゃったから」
「もうどうするのよ……」