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【HQ】恋愛クロニクル【東峰旭】

第38章 合宿1日目夜~2日目


黒崎に黙って食堂を出てしまい、多少なりとも罪悪感を覚えたものの、黒崎の顔を見ると感情のまま言葉をぶつけてしまいそうな気がして、足早に体育館へと向かった。

「旭、美咲ちゃんどうだった?」

体育館へ入るなり、スガが声をかけてきた。
俺は一呼吸置いて返事をした。

「…うん、食欲も出てきたみたいで体調は戻りつつあるみたい」
「そっか。ひとまず安心てとこか…で、旭はちゃんと話できたのか?」
「…まぁそれなりに」
「どした。なんかあったのか」

歯切れの悪い俺の答えに、勘のいいスガは何かあったのだと確信しているようだった。

「なんて言っていいのか分かんないんだけど……なんか違和感があるんだ。黒崎は前みたいに俺と接しようとしてるんだけど、どこか無理してる感じがして。あと…俺のこと…やっぱりどこか避けてたみたい。俺、避けてた理由聞こうとしたんだけど、はぐらかされちゃったよ」
「うーん…まぁ向こうからしたら本人に直接聞かれちゃ気まずいだろうなぁ。こういうとこがイヤで貴方のこと避けてました、なんてお前だって面と向かって本人に言えねぇべ?」
「う、そう言われると確かに」

いくら俺が謝りたいからと前置きしたところで、『避けてた理由を聞かせて』なんて答えにくいことを聞いてしまっていたんだな。
スガに言われてようやくそこに意識がいった。

結局分かったのは、黒崎が俺を避けてたという事実だけ。
避けられてた理由が分からなければ、またいつか同じように黒崎に避けられるようになるかもしれない。
原因が分かれば改善のしようもあるかもしれないのに。

「けど、やっぱり理由が気になる」
「そりゃまそうだわな。…俺もそれとなく探ってみる。難しいかもしんないけど、旭は今までどおり美咲ちゃんに接してやれよ? 一応、美咲ちゃんも前と同じように戻ろうとしてくれてんだろ?」
「うん…俺に気遣ってのことだろうけど…」
「しばらく様子見るしかねぇべ」

スガの言葉に頷く他なかった。
黒崎の態度に違和感は覚えながらも、今の俺に出来るのは以前のように普通に彼女に接することだけだった。

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