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【HQ】恋愛クロニクル【東峰旭】

第37章 交錯する心


「昼間のは仕方ないんじゃね? 美咲ちゃんだって倒れるくらい体調悪かったんだし」
「そうかな・・・」
「まぁ確かに最近は美咲ちゃんが旭を避けてる感はあったよな。・・・愛梨さん来た日くらいからか?」
「そう言えばあの日からなんかよそよそしいかも、黒崎・・・」

突然現れた元カノ。
それだけでも充分気まずかったのに、三人で一緒に帰ることになって、その上「ヨリを戻そう」なんて愛梨から言われて。
あの時、黒崎の目の前でハッキリと断れなかったのがいけなかったんだろうか?
迫られたら曖昧な対応しか出来ない弱い男だと思われただろうか。

「詳しく聞いてなかったけどさ、愛梨さんにヨリ戻そうって言われた時、美咲ちゃんもその場にいたの?」
「うん・・・・・・」
「やっぱりか。あの人ならやりそうだと思ったんだよね。で、旭はキッパリ断ったんだろ? こないだの部活でそう言ってたよな」
「断った、けど・・・・・・」

言い淀んだ俺の顔をじっと見つめていたスガが、まさか、と口にした。
多分スガの考えていることは当たっている。
スガは俺のことを、よく分かっているから。

「美咲ちゃんの目の前で断ってない、とかじゃないよな?」
「・・・正解です・・・」
「お前そりゃないべ・・・仮にも好きな子の前で言い寄られて、ハッキリ態度示さないとか・・・そこはヘタレじゃ駄目なとこだろ」

スガの言うことは最もだ。
愛梨にも「目の前でハッキリ言えば良かったのに」って言われたっけ。
でもあの場で断ってたら、愛梨は必ず理由を聞いただろうし、答えてしまったら黒崎に告白するようなものだ。
田中に言った嘘の理由、-バレーに集中したいから-なんて答えていれば、愛梨は「部活引退するまで待つ」とか言いかねなかっただろうし。


「・・・あの場では仕方なかったんだ。それに、黒崎が気を利かせて先に帰っちゃったし」
「まぁ美咲ちゃんの立場だったらそうするだろうなぁ。愛梨さんも策士だな」
「策士って?」

スガは目を丸くしてこちらを見た。
本当に気がついてないのか?と聞かれて、こくんと頷いた。
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